コーポ啓21号室~偽コンビクトの日々戯言

50歳を過ぎてもまだまだぼやくぜ

駄目な僕

昔の洋楽ロックにはかなり無茶苦茶な邦題がついていて、それがまた内容とはまるで関係なかったりして、ある種異様な文化を感じさせられるのですが、私が推す史上最強の邦題は今日のタイトル。被害にあったのはビーチボーイズ。名盤「PET SOUNDS」の中の一曲です。確かにこの頃のブライアンウィルソンはドラッグでかなり駄目なんだけどね…。他にも私の愛する「THE WHO」なんかはやたらと「恋の〜」とかいう邦題乱発で目も当てられない。「恋のマジックアイ」はないだろ、あんなに強力なロックなのに。

まぁこの日記やサイトの中でも、私は結構ビーチボーイズ、もしくは「PET SOUNDS」に対する賛辞を隠さないできたのだが、それほどまでに惚れこむ何かは確かにある。少なくとも私にはあった。今日も「PET SOUNDS」を何回も何回も廻しているのだ。

このアルバムの中のブックレットを見る。ドラッグまみれの小心者天才ミュージシャンであるブライアンウィルソンが最も光り輝いていた時期の写真がたくさん載っている。このアルバムのジャケットもかなり強烈だ。メンバーみんなで動物に餌をやっているだけの写真なのだが、あまりに作り物くさいその写真がかなりのインパクトを与えてくれる。
不思議なものだ。他のどのアルバムにも抱かない思い入れがこのアルバムにはある。このアルバムを聴くと、いつもこんなことを考える。
「自分は若いうちにしか成し得ないことをちゃんとやれてきているのだろうか?」
何でこんなことを考えてしまうのかは全然わからない。きっと、このアルバムがあまりにも青年期の何かを掴み取っているからなのだろう、とは思うんだけど。こんなのは若いうちしか作れないアルバムだ。だからこそ凄い。凄すぎるのだ。そんな意味でも、「駄目な僕」という邦題は実は的を得すぎているのかもしれないが。

ささやかな豆知識。
何年か前のスマップのCDジャケは、この「PET SOUNDS」にそっくり。私も何回かレコード屋で間違えそうになっています。
さらに、フリッパーズギターの「ヘッド博士の世界塔」というアルバムのはじめに入っている管楽器の音は、元ネタがこの「PET SOUNDS」の中にあるのです。
こういうのは作り手側のリスペクトの表れなので、結構微笑ましくていいなぁと思います。