コーポ啓21号室~偽コンビクトの日々戯言

50歳を過ぎてもまだまだぼやくぜ

かつて、道があった

梅雨ですなぁ。僕はビアガーデンに行きたい、のにこう雨では。この際ビールが飲めればいい。こないだのみに行ったときはビールをいっぱい飲んだあとウーロンハイしか飲まなかったヘタレ具合でしたが。
よくあるビルなんかでの屋外ビアガーデンとか、僕は数えるほどしか行ったことがない。平成4年の夏、お盆の繁忙期が終わって風が冷たくなってきた頃にバイト仲間で盛岡駅ビルフェザンの屋上でビールを飲んだことがあった。確か大塚さんと瀬戸くんと僕、本宮さんもいたような気がする。本宮さんと僕がガチャガチャ騒ぐ役で、大塚さんと瀬戸くんは物静かな人たちだった。冷たい風がびゅうと吹き、枝豆の入った皿が飛ばされたのをなぜかリアルに覚えている。今年の繁忙期も無事終わり。お疲れさん。とかそんなことばかり話していたような気がする。そのとき、大塚さんと本宮さんはもうバイトを辞めることが決まっていた。大して親しくもなかった大塚さんだったが、いなくなると思うと寂しく感じるものだった。北海道に帰って公務員を目指す、とかなんとか言って割と普通の人だった。彼がきちんとその言葉どおり地元で公務員になったと聞いたのはそれから2年くらいしたあとだったが。
おそらくそのときその4人は彼女の一人も出来ないつまらない人間の集まりだったと思う。よくある人並みの青春なんかそのときの僕らにはなかったのかもしれない。でも、そんな時間が今の僕にはとてもいとおしい時間に思える。あの程度のことでも僕には大事な思い出なのだ。僕は確かにあそこで生きていたのだ。

夏は思い出に残りやすい。それが僕が32年生きてわかったことだったりする。