コーポ啓21号室~偽コンビクトの日々戯言

50歳を過ぎてもまだまだぼやくぜ

選ばれなかった、今日も。悪い予感なんてないさ。

テロテロ歩いてた。覚えたばかりのタバコを咥えながら。その頃はタバコを吸いながら歩いていても特に何も言われないほど緩やかな時代だった。しょぼいイヤホンでお気に入りの音楽を聴きながら。

あの頃もそれなりに嫌なことばっかりあるような気がして、おそらく独り言にも拍車がかかっていただろう。何が気に食わなかったかは忘れた。でも、ひとつだけ覚えてる。僕が自分なりに一生懸命やった程度じゃ、おそらく何にも変わらないだろうなという失望にも似た感覚が頭の中を占めていたこと。そう、「自分なり」じゃおそらく全然足りない。鬱屈としていた。頭に来たり悲しくなったり。現実ってのはとにかく重い。で、結局はガンバローって思うしかないよな、なんて。

怖がりの僕は、雪が降ると自転車に乗らなかった。転ぶのが嫌だった。バイト先まで歩くと一時間。自転車なら半分で付くのに、結局タバコ吸いながら歩いてた。一応吸殻はポケット灰皿に入れてた。
早番の日、暗いうちにアパートを出てだんだん明るくなってくのを見ながらでもなかなか気持ちは晴れなかった。全く、世の中ってのとみんなどうやって付き合ってんだろう?なんてよく思ってた。それなりに楽しくやれてる実感があった僕ですらそんな感じだったのだから、世の中の大多数の人はきっと自殺したいくらいの気分なんだろう。そう思って。

ヒタヒタと歩いた。毎日毎日行きも帰りも。タバコばっかり増えてった。行きも帰りも夜だった。途中でビール買って飲んだりもしたが、それほど気分は変わらなかった。カセットのボリュームをガツンと上げた。結局月の色も星の色も変わりはしなかった。