コーポ啓21号室~偽コンビクトの日々戯言

50歳を過ぎてもまだまだぼやくぜ

巨星墜つ

水島新司先生が亡くなられた。ワタシとしてはやはり「あぶさん」が印象深い。私の半生はホークスとともにあったといっても過言ではない気がするが、ずっとあぶさんも同じ時代を生きていたのだ。ワタシの子供時代から青年期、ホークスは弱小中の弱小で他の球団のファンと同じレベルで野球を楽しむことも難しかった。心の支えは門田、山本和範佐々木誠。個人成績に楽しみを持つだけでチームの優勝など望むべくもなかった。ワタシ自身も優勝する日が来るとはまともに思ってはいなかった。それこそ景浦安武が本当にいてくれれば……とずっと思っていたのよ。


時は過ぎ、あの99年だ。門田もカズも佐々木誠もみんないなくなってしまっていたが、代わりに小久保や城島、松中や井口、柴原たちが活躍しついに優勝してしまう。あの弱小ホークスがだ。ワタシが物心ついた時からわずかに 3位が一回だけ、あとはすべてBクラスだったホークス。ファンとしてはどういう風に喜べばいいかすらわからなかったあの時。ふと「あぶさん」はどういう風に進んでいるのだろうと調べると、あぶさんは守備で肩を痛め、バットを振ることが出来ないながらもそれを隠し、セーフティバントで決勝点をもぎ取り優勝を決めていた。そして、なんとしてでも優勝したかった……と静かに呟いていた。あのセリフに我らホークスファンは共感の涙を流したものです。ホークスの優勝を見ることはこのままできないかもしれない。でもきっといつか報われる日が来る。そう信じてたんだよ。


その後ホークスは常勝集団になってしまうんだけど、あぶさんが初優勝を決めたあの回の単行本はずっと何度も読み返したもんです。我らホークスファンと共にいてくれた水島先生、本当にありがとうございました。ご冥福を。