コーポ啓21号室~偽コンビクトの日々戯言

50歳を過ぎてもまだまだぼやくぜ

within you

アンソロジーシリーズに入っているビートルズの「strawberry fierds forever」のデモテイクがとても好きな私です。といっても知らない人には何のことやらさっぱり分からんでしょうが。「strawberry fierds forever」の公式テイクは、サイケデリックのハシリみたいな浮遊感バッチリのアレンジなのですが、デモテイクはジョンがギター1本で弾き語ってて、これが浮遊感に生の感情がミックスされたような感じでなんともいえない気分になるのです。ジョンの声はホントビリビリ来るいい声なのに、本人は自分の声が大嫌いだったといわれています。不思議だよねぇ。

でも、自分の声って自分には違って聞こえるよね。今でこそ録音が簡単にできる時代だから、自分の声を客観的に耳にする機会も多くてそのギャップも結構埋まりやすいけど、僕が子供の頃なんて自分の声を聞く機会なんてなかったぜ。ウチにはテープレコーダーはしばらくなかった。ステレオやコンポなんて望むべくもなかった。それ以前に音楽方面には全く興味もなかった。ほんの20年前くらいの話だよ。20年後、今みたいな生活を送ってるなんて、当時の僕は思いもしてなかったはずだ。なんでこんなんなっちまったんだか。不思議だよねぇ。

中学生くらいの時、僕は「大学」というものがなんだかよくわかっていなかった。漠然と、高校出たら適当に就職して適当に28歳くらいで結婚して、平凡な人生を送るもんだとばかり思ってた。高校入学してすぐの頃、志望校を書いて提出しろ、と言われたものの、当時の僕が知ってる大学といえば東大と早稲田、慶応くらいのものだった。さすがにそれらの大学はとんでもなく難しいとはわかっていたので、近くの席の人に教えてもらって適当に「北海道大学」と書いた。全く豪快に過ぎる。
なんだかんだで僕もいつのまにか大学を志望する事になって、気がついたら底辺の大学生になっていた。公務員信者のウチの両親は、ガッカリ感を僕に対して隠さなかった。この時点で漠然と思い描いていた「高校でたら適当に就職でもして……」という将来設計は完全に崩れ去ったのだ。だいたいガキの頃の将来設計なんてそんなもんだ。そもそも中学生くらいの時から「公務員になれ、なれ」と吹き込まれていたものの、公務員なんてどんな仕事してる人かさっぱり知らなかったのだ、俺は。

つまり、僕はガキの頃、興味のあることなんてほとんどなかった、という話。