耐え難いほどの無神経

今週の「はじめの一歩」を読んで、あんまりな展開に唖然とした。世界二位の選手に一歩が負ける意味がどこにあるのか。今まで散々引き伸ばしてきたこの物語、一歩が負けることでさらに引き延ばしが決まったようなものだ。果たして作者の森川ジョージ氏は「はじめの一歩」を完結させる気があるのか。

もちろん漫画ではない本当のボクシングで、とんとん拍子に勝ち進み世界王者になるなんてことはほとんどない。現実世界の厳しさをこの漫画に反映させているのかも知れない。ただ、言わせてもらえばこれは漫画だ。作品のはずだ。ただただ世界を収拾なく広げて引き伸ばすだけのものは作品とは呼べない。漫画であるとも言いたくない。ただの自己満足だ。今週の一歩を読んで、おそらくほとんどの人間が一歩が負けたことでショックを受けたというより「はじめの一歩」がいつまで経っても終わらないことにガックリ来たはずだ。

この漫画の連載が始まった頃は本当に毎週楽しみに読んでいた。一歩はワタシと同じ高校二年生で、一歩はじめ登場人物もイキイキと書かれ物語のテンポもよかった。ワタシは今でも一歩のベストバウトは対速水戦だと思っている。それが今ではどうだ。一試合終わるのに一年を要し、その上終わった後に何の感慨もなく疲労感だけが残る試合の連発。ここ10年で明らかに物語上必要のない試合が何試合あったことか。主人公の一歩の試合のみならず、登場人物全員に必要以上に感情移入し書き込むことで逆に物語のクオリティはどんどん落ちてしまった。代わり映えしない試合ばかり書くことでいつまで経っても一歩は前進前進しか能のないブルファイター。ボクサーとして成長しているはずなのに伏線はすべて捨ててのブルファイター。最近一番興味を持って読めたのはヴォルグの世界戦。一歩の試合は全然……。

読者に必要なのは対リカルドマルチネス戦と対宮田一郎戦、この二試合しかないはずだ。この十数年、森川氏はそれを書かずにいつまでも引き伸ばしているとしか思えない。名作「はじめの一歩」をただ引き伸ばして完結させる気がないとしか思えないのだ。このペースで森川氏は自分が死ぬまでにこの物語を完結できると本気で思っているのか?

今週を踏まえ、「はじめの一歩」が最終回を迎えるとしたら一歩がこのまま再起不能になってボクサーをやめる以外にないと思う。ただ、読者はそんなもん望んでない。さっさとリカルドマルチネス戦、宮田戦を!あんなに好きだった「はじめの一歩」がここまでひどい作品になるなんて耐えられないのだ。高校3年の時読んだ東日本新人王戦のクオリティは素晴らしかった。リアルタイムであそこまで熱くなって読んだ漫画は他にない。だからこそ、この漫画はきちんと名作として終わって欲しい。願わくば、生きてるうちにそれを読みたい。このままじゃあと30年経っても終わらんわ……。