コーポ啓21号室~偽コンビクトの日々戯言

50歳を過ぎてもまだまだぼやくぜ

「嫌んなった」の歌詞は届かなかったのか

憂歌団のドラマー、島田和夫さんがお亡くなりになりました。

もう憂歌団を見ることは出来ないのか。とても残念だ。一回だけ憂歌団を生で見たことがある。96年か7年、青森の海辺にある広場で無料コンサートがあった。たまたまそこに居合わせた僕は彼らを見てみることにした。何枚かアルバムは持ってて結構好きだったんだけど、実際生で見ると違うじゃない?期待半分な感じで前座から見始めた。
無料ということで、憂歌団なんか興味がない人が9割方だったと思う。たまたま近くにいてタダだから見てくか、みたいな。前座で「ゴーシュ」とかいうバンドがつまらない曲をやってた。青森の人なんてロックなんか興味がない人が大半だから観客は静まり返ってた。ゴーシュのボーカルはまったく反応がないことでだいぶイジけたMCを連発してたのを覚えてる。

で、憂歌団だ。憂歌団が出てきたからといってウワーッと興奮する客なんて3〜400人の観客のうち30人もいなかったと思う。相変わらず静まり返った観客。静かに地べたに座ってるだけ。でもね、ひとたび演奏が始まると少しずつ観客が沸いてきて、前のほうには踊ってる人や飛び跳ねてる人がだんだん増えてきた。最終的には観客の三分の一は踊りまくり、後ろの人たちも笑顔また笑顔。何より途中からの土砂降りにもかかわらず、観客のボルテージは上がる一方だったのが印象深い。もちろん僕も最前列でびしょ濡れになってずっと飛び跳ねてた。おかしいよね、やってる曲はドが付くくらいベタなブルースや歌謡曲のカバーだったのに。なんつうか、バンドの作り出す音がものすごいうねってて、僕ら観客が飲み込まれてる感じだった。もう身を任せるしかない感じ。客がステージにバーボンのボトルを差し出して、それを受け取ったメンバーががグイグイ飲んでまた音を紡ぐ。飛び跳ねながらもなんか涙が出そうだったのを覚えてる。嬉しいわけでも悲しいわけでもなく、ただただすごいものを見てる!っていう興奮からの涙。帰りの車の中でもずっと興奮は冷めなかった。

それからちょっとして憂歌団は活動休止。でもいつか復活するさと思ってたんだけど。もうあの素晴らしいバンドを見ることが出来ないというのは本当に悲しく寂しい。ご冥福を。感謝とともに。